てんかんとは、脳の神経細胞の電気的活動が過剰になり、発作を繰り返す慢性の脳の病気です。
症状は、
○全身を痙攣させる
○数秒間だけぼんやりする
○全身の力が抜ける
○脈絡のないことをしゃべる
等さまざまです。
特に15歳未満の脳はまだ発育途中のため、てんかんでおこる電気活動の異常が脳に悪影響をおよぼすことがあります。
正しい診断、治療をすれば、健康な人とかわらない生活ができます。
小児期のてんかんは、8割以上が良性のてんかんですが、約2割は難治性のてんかんです。中には発作をくりかえすうちに、精神運動発達が止まったり、遅れたりする悪性のてんかんもあります。発達中の未熟な脳がてんかん性脳障害をおこす危険性もあり、良性か悪性かを正確に鑑別して、素早く治療を開始することが大切です。 小児期のてんかんは発作型が多彩です。ある年齢層に限って発症したり、変容したりすることもあり、初診時の予測は困難なことが少なくありません。はじめは良性のようにみえても、治療に抵抗性の経過をとることもあり、経過は慎重に追跡する必要があります。幸い、精密な脳波検査は、小児のてんかん性異常の検出率が高く、診断のみではなく、治療効果の評価、経過の把握、治療の判断として極めて有用性が高いという利点があります。
子どものけいれんを見ると動転・狼狽しますが、数時間もけいれんが続く時を除けば、けいれんだけでなくなってしまうことはないので、落ち着いて対応しましょう。
(1)けが防止のため周囲の危険物(コップなど)を遠ざけましょう。
(2)出来るだけ静かにして、刺激しないことが大切です。音や光にも配慮しましょう。抱いたり、抑止したりするとかえって発作が長引いてしまうことがあります。
(3)歯をくいしばっていても箸などで無理にこじあけないようにしましょう。
(4)顔を横向けにして、吐物・唾液などの誤飲の防止をしましょう。
(5)浣腸は不要です。
たいていの発作は、2〜3分間でおさまります。救急処置を要しない場合が多く、急いで病院を受診しても診察時にまでけいれんが続くことは滅多にありません。
発作後は昏睡状態で眠り込み、体温も上がります。疲れと脳機能の回復時間を考えて、落ち着いてからとりあえず救急受診をしましょう。原因の検査、今後の対応などについては、改めて専門医を受診してください。
熱性けいれんとは、体温が38度以上の乳幼児にみられる全身性の発作です。生後半年から5歳くらいまでの子供さんに起こります。多くは発熱後24時間以内に起こり、全身が強直またはガクガクと震えます。
発作は5分以内に終わることが大部分で、15分以上続くことは稀です。来院時には意識が戻っていることが多く、この場合には治療は不要です。発作には遭遇すると気持ちが動転しがちですが、普通にみられる数分の発作では、後遺症などが残る心配はありません。熱発時に熱性けいれんの予防のため抗けいれん剤の座薬を使用することがありますが、解熱剤で予防することはできません。
熱性けいれんの中でも、10分以上発作が続いたり、短い間に発作を繰り返す、体の一部分のみがけいれんをする、手足の麻痺などが認められる場合には注意が必要です。髄膜炎や脳炎・脳症の主な症状は熱とけいれんですので、熱とけいれんをみて、すぐに良性の熱性けいれんと早合点しないことも大切です。
てんかんは脳の中の電気回路がショートすることによって発作が起こる病気です。ショートしやすい回路が脳の中に作られているわけです。1回きりの発作ではてんかんとは診断されません。発作が2回以上ある場合にのみてんかんと診断されます。
きちんと服薬を続ければ8割の方の発作はおさまりますので、てんかんと診断されたからといってことさら悲観的になる必要はありません。お薬では発作を止めることが難しい残り2割のてんかんの一部も近年目覚ましく進歩した外科治療により治すことができるようになりました。大部分のてんかんは治るといって過言ではないでしょう。
てんかんには多くの種類があります。治りやすさはどの種類のてんかんであるかによって違ってきます。このため単にてんかんと診断するだけではなく、どのタイプのてんかんなのか出来るだけ細かく診断する必要があります。